PowerTools InputMan for Windows Forms 8.0J
書式の設定

テキストコントロールを特徴づける入力制限の機能について解説します。

文字種の制限

テキストコントロールでは、入力可能な文字種をFormat プロパティで制限することができます。Format プロパティに設定できるキーワードは、次の表のとおりです。また、ここで指定された以外の文字種が入力されると、InvalidInput イベントが発生します。

全角 半角 説明
A 大文字のアルファベット(A〜Z)
a 小文字のアルファベット(a〜z)
K カタカナ(促音・拗音の小書き表記あり)
N カタカナ(促音・拗音の小書き表記なし)
9 数字(0〜9)
# 数字および数字関連記号(0〜9、+ - $ % \ , .)
@ 記号(! " # $ % & ' ( ) - = ^ ~ \ | @ ` [ { ; + : * ] } , < . > / ? _ 。 「 」 、 ・)
B 2進数(0または1)
X 16進数(0〜9、A〜F)
- ひらがな(促音・拗音の小書き表記あり)
- ひらがな(促音・拗音の小書き表記なし)
- すべての全角文字
- サロゲート ペア文字
- 2バイト文字(サロゲート ペア文字を除いた全角文字)
- JIS X 0208文字で構成された文字
- Shift JIS文字で構成された文字
- IVS(Ideographic Variation Sequence)文字
- H すべての半角文字
- ^ 指定した書式に含まれないすべての文字
- \ エスケープ・シーケンス

半角文字と全角文字は、その文字のShift-JISコードを使って識別されます。

文字種の設定は、デザイン画面からは専用の「書式の設定」エディタを使用して容易に設定できます。このエディタは以下のいずれかの方法で起動します。

以下に、入力可能な文字種を設定する具体例を示します。

次のコードは、半角大文字のアルファベット(A〜Z)と2進数(0, 1)のみを許可します。

GcTextBox1.Format = "AB"
gcTextBox1.Format = "AB";

次の例では、半角大文字のアルファベットと数字(0〜9)が入力可能になります。キーワード"X"で指定した16進数は、別のキーワードの"A"と"9"に含まれているので、無視されます。

GcTextBox1.Format = "AX9"
gcTextBox1.Format = "AX9";

下のコードでは、すべての半角文字の入力が許可されます。キーワード"AaK9"で指定した文字種は"H"に包含されているので、この部分は無視されます。

GcTextBox1.Format = "AaK9H"
gcTextBox1.Format = "AaK9H";

次に示す2つの例は、どちらもスペースを含むすべての文字種を許可するものです。デフォルトでは、最初の例のように設定されていますので、2つ目の例のようにキーワード"ZH"を指定しなくても同じ動作となります。

GcTextBox1.Format = ""
GcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.Both

GcTextBox1.Format = "ZH"
GcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.Both
gcTextBox1.Format = "";
gcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.Both;

gcTextBox1.Format = "ZH";
gcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.Both;

以下の2つのコードは、すべての文字種の入力を拒否します。スペースの入力も許可されません。この例が示すように、キーワード"^"は、その後に記述されたキーワードの補集合を表します。

GcTextBox1.Format = "^"
GcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.None

GcTextBox1.Format = "^ZH"
GcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.None
gcTextBox1.Format = "^";
gcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.None;

gcTextBox1.Format = "^ZH";
gcTextBox1.AllowSpace = GrapeCity.Win.Editors.AllowSpace.None;

また、入力可能な文字種から特定の文字種を除外することもできます。次のコードはすべての全角文字からサロゲート文字だけを除外します。

GcTextBox1.Format = "Z^T"
gcTextBox1.Format = "Z^T";

特定の文字を書式に設定することも可能です。記号から「^、@、\、$」の4文字を除外するには以下のように記述します。

GcTextBox1.Format = "@^\^\@\\$"
gcTextBox1.Format = "@^\\^\\@\\\\$";
文字列の自動変換

AutoConvert プロパティをTrueに設定すると、Format プロパティの設定内容に基づいて、変換可能な文字はすべて自動的に変換されます。たとえば、Format プロパティで"A"キーワードが設定されていると、小文字を入力しても自動的に大文字に変換されます。また、全角文字だけが許可されている場合は、入力された半角文字は全角文字に変換されます。

コントロール内部で行われる自動変換の手順を以下に示します。

  1. 小文字から大文字、または大文字から小文字への変換を行います。
  2. 手順 1 の変換が行われない場合、全角から半角、または半角から全角への変換を行います。
  3. 手順 2 の変換が行われない場合、全角大文字から半角小文字、全角小文字から半角大文字、半角大文字から全角小文字、半角小文字から全角大文字のいずれかの変換を行います。

半角カタカナ、全角カタカナ、およびひらがなは、次のように変換されます。

Formatプロパティに"^V"が設定された場合、IVS文字およびIVSの親となる漢字(以下、親字)は以下のように変換されます。

"^V"(IVS文字を除外する)
IVS文字 親字に変換されます。
親字 そのまま入力されます。
スペース入力の制御

AllowSpace プロパティは、Format プロパティの設定に依存せずに入力可能なスペースの種類を設定します。AllowSpace プロパティがAllowSpace.Wideに設定されている場合、Format プロパティにキーワード"H"のみが設定されていても、コントロールには全角のスペースのみ入力可能です。また、同様にAllowSpace プロパティがAllowSpace.Narrowに設定されている場合、キーワード"Z"のみが設定されていても、半角のスペースだけが入力可能になります。

AllowSpaceの値 説明
Both 半角、全角の両方のスペースが入力可能。
Narrow 半角のスペースのみ入力可能。
Wide 全角のスペースのみ入力可能。
None スペースの入力はできません。

既存のテキストにスペースが含まれているときに、AllowSpace プロパティをAllowSpace.Noneに設定すると、それらのスペースがすべて削除されます。

参照

 

 


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